「セッション」ラスト9分19秒は素晴らしかった!!

この間の日曜日、TUTAYAで、今年のアカデミー賞3部門受賞した 「セッション」 のDVDをレンタルして見ました。
なぜ見たのか? というとTUTAYAのレンタルコーナーでも、ゴンドラ什器一台分に拡大展開して演出されており、

「これ おすすめ!!」

と言うことが、一目でわかる展開をされていました。これだけフェースを拡大して露出して展開されていると 「見なくっちゃ!!」 という気持ちにつながるものですね。私自身も Jazz が好きなので、興味があったことも確かですが・・・

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この「セッション」は、作品時間はわずか106分という短い映画で、登場人物も舞台も少なく、物語もあまりいろいろな情報を差し込まず、非常にシンプルなわかりやすい映画でした。 見終わった感として、とても観やすく、ストーリーもわかりやすく、何もイメージを持たずに楽しむとラスト 9分19秒のシーンに釘付けになってしまう。
セッションは、音楽の経験も必要ないですし、ただ見て行けば、簡単にストーリーがつかめる映画でした。

物語は、主人公アンドリュー・ニーマンは名門音楽大学に通う学生で、将来偉大な音楽家になる事を目指して練習をしながら頑張っていました。そこに指揮者であり教官のテレンス・フレッチャーが現れ、大きな声で厳しく彼の演奏にダメ出しをする。
その後、フレッチャーの指揮するバンドにドラマーとしてニーマンは招待されました。フレッチャーの恫喝と暴力の一貫して厳しい指導を受けました。
このセッションという映画は、基本的に教官と生徒の1対1の物語なので、物語の流れは非常にシンプルわかりやすかったです。
また「バードマン」という映画も、制作費があまりかかっていないことが話題になりました。このセッションも製作費はわずか3億円と驚異の低予算でアカデミー賞3部門を受賞したことが、世界的にも話題を集めています。
映画は、金じゃない。エンターテイメントだということを証明しているような映画です。

ミュージッシャンの世界は、一件、外から見れば華やかな世界ですが、成功している人は、一握りの人で、日の目を見るための努力は、どんな世界にもあることです。ミュージッシャンにスポットをあて表現しているこの映画は、すごいと感じました。
映画の中でもニーマンは音楽をやっている事を半ば馬鹿にされていました。スポーツのように、あからさまに違いのわかるデータがないので、プロの音楽家がその人の技術を見ればわかることでしょうが、普通の人ではわからないのが、評価の分かれるところでしょうね。

音楽の「すごい」や「うまい」というのは、それをやった事が無い人には伝わらないものだ

ということでしょう。
主人公ニーマンも、そんな世界に身を投じている。やってもやっても届かない技術、先輩からの冷ややかな目線、偉大なドラマーになるためには、全てを捨てていかなければならない。
寝る間を惜しんでドラムを叩き、手を血だらけにし、何度も絆創膏を貼っては氷水で冷やす姿。この努力が報われてほしいなぁ? と思いながら見ていました。
映画の中盤くらいで、フレッチャーが

「危険なのは、グッジョブ(上出来)という言葉だ」

というシーンがあります。この映画の流れで、どこか? 妥協したこの言葉は、考えさせられる感じがしました。この言葉を言われて、納得してしまうのか? 納得せず、さらに高みを目指すのか? それがミュージッシャンと言う芸術家の中に必要なのではないでしょうか?
それを駆り立てるために、フレッチャーは、常軌を逸した指導を続けたのではないでしょうか?

ラストのシーン展開は、これから見られる方もおられるでしょうから、詳しく言いません。ニーマンは一度、スティックを手放し、またフレッチャーも行き過ぎた指導が露見し、大学を辞めさせられた。
そんな二人が偶然、出会い、ニーマンは、フレッチャーの現在しているバンドに誘われます。
そして観客の前で演奏を始める前に、フレッチャーはニーマンに、自分が大学を辞めさせられる密告をしたのは 「おまえだろ」 と言います。実は、ニーマンに復讐するために、あえてニーマンに嘘の選曲を伝え、観客の前で恥をかかせるような行動をしました。演奏が始まると何とか?食らいつこうとするニーマンでしたが、演奏者周囲からも、冷ややかな言葉を浴びせられ、一旦は、退出します。
でも意を決したようにステージに戻っていくニーマンが描かれました。
そこからニーマンは、フレッチャーの復讐に反論するように、圧倒的なドラムテクニックで、フレッチャーの 「次はゆっくりした曲を・・・」 という言葉に反論するようにドラムソロを演奏し、ゆっくりした曲だなんて、絶対ありえないテンポで演奏を続けます。
そして叩き続け、ニーマンのソロ演奏は続く。そしてそばにはフレッチャーが・・・

「どん底から高みまで高まっていく二人の関係が、このセッションという形で表現されるのは、すばらしい」

と思いました。あまりラストシーンのことを記すと楽しみも半減すると思いますので、記さないようにします。
ただまた楽しみたい映画でもあります。

今日も長々とお付き合いいただきありがとうございました。
セッションは、おすすめです。

パワスポ社長_感謝