こんにちは・・・ アンディーンノア社長 伊藤です。
超大型台風8号が接近いるせいか?
大阪は、外に出るとムッとした蒸し暑さにうんざりする気温です。
今日は、最近、面白くよく見ている「津田大介 日本に+」で紹介されていた池澤夏樹さんの「アトミックボックス」の話しをさせていただきたいと思います。
ATOMIC BOX 池澤夏樹
この小説は、2012年9月16日から2013年7月20日まで毎日新聞の朝刊に連載されていた新聞小説だそうです。話しを聞いていると、時事問題から文明論まで多岐に亘っているコラムを集めた「終わりと始まり」という書籍も出版されています。
http://www.amazon.co.jp/%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%A8%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A-%E6%B1%A0%E6%BE%A4%E5%A4%8F%E6%A8%B9/dp/402251096X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1404891491&sr=8-1&keywords=%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%A8%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A
池澤さんの小説はバラエティに富んでおもしろいのですが、コラムも読んだ後に、考えさせられる内容が多いようです。
また津田さんの話しは、話しを聞いていてもわかりやすいですし、池澤さんの本のことを評価していたので、Amazon で池澤さんの本を購入して見ようと思います。
さて、「アトミックボックス」ですが・・・
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E6%B1%A0%E6%BE%A4-%E5%A4%8F%E6%A8%B9/dp/4620108014/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1404891590&sr=8-1&keywords=%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
瀬戸内の漁師 宮本耕三は、大学院まで進んだコンピューター技術者で大手メーカーから出向し国産原爆開発計画に関わるがある事件がきっかけで計画は崩壊。そして耕三は、広島の原爆で胎内被爆していたことを知り、自分の行動を悔やみ、秘密を握ったまま、故郷に戻って漁師なりました。
2011年福島第一原発事故で放射能汚染を目の当たりにした耕三は、罪の意識に苛まれ、がんで臨終を迎える時に、ひとり娘の美汐に自分の秘密を託す決意をする。
それは、日本に国産原爆計画が存在した証拠と、参加した父の告白が入ったCDを娘の美汐に託しました。美汐は警察に追われながら原爆計画の真相に迫るため瀬戸内海~東京を目指す「核」をめぐるポリティカル・サスペンスとのことです。
池澤さんは、この本を書くにあたって、「読み始めたら、最後まで止まらない」本が書きたかったそうです。
この本は、初めはミステリーにして、謎が真ん中にあって、だんだんに説かれていく。そしてその途中にアクションがあって、理屈ぽくグズグズしないで、どんどんページをめくっていって、できれば読後にズシーンと重いモノが残るようにしたいと言うことで、おもしろい話を書こうと思って書いているうちに、国家が必死になって隠そうとする秘密があるとしたら・・・
戦後日本史最大の秘密があるとしたら、それは「原爆」だろう
とテーマの「原爆」がらみは後から出てきた発想のようです。
その意味では、津田さんも分厚い本なので、当初は3回くらいに分けて読もうと思っていたそうですが、一気に読まれたようです。
ミステリーは殺人があって、誰が犯人か?というのが基本のパターンだが、池澤さんはあまり人を殺した小説はいいことじゃないし、話しをドライブさせる力を考えると、「追いかけると逃げる」・・・なぜ、逃げるか?悪い事をしたわけではなく、何かを持って逃げる。
悪いことをして逃げたのでは、読者は共感しない
逃げる方が主役、何かを持っている、そして追いかけられる。追いかけられるのは強ければ強いほどおもしろくなる。マフィアより警察。
また今の時代、あちこちに監視カメラがあるわけですから、それに見つからないように掻い潜って逃げるのは、容易ではない。その辺りで、スリルが構築できる。ストーリーの中で、美汐が逃げるパターンが8割ということでおもしろい仕上がりになっているそうです。
また裏返して考えてみると・・・私たちは、デジタルの監視社会の中で生きているし、その気になれば個人情報は、いくらでも集められる世界を描くために、背景を細かく取材で調べながら小説を書かれたそうです。やはりうそを書いてしまうとつまらないものになる。だからこの小説では、具体名や事件にこだわって、現実に実際にある事件、今実際にあるお店にこだわっていて、リアリティを出すことで、リアリティを担保する。
戦後、日本史最大の秘密があるとしたら・・・核武装であろう。
- 1964年10月 中国が核実験に成功
- 1964年12月 佐藤栄作総理
「相手が核を持つなら、自分で核を持つのも常識」とアメリカ・ライスシャワー大使に核保有を示唆。 - 1967年12月 佐藤栄作総理
衆院予算委で非核三原則を表明 - 1969年 外務省内で核武装論が浮上。
などの事実があり、このアトミック・ボックスの「原爆開発」ということは、あながち荒唐無稽の話ではない。そのような事実を踏まえ、盛り込むことによりこの小説の内容を隅々まで、読者がほんとうであると思えば、作者の勝ちだと池澤さんは言っておられました。
2011年福島第一原発事故で放射能汚染を目の当たりにした耕三は、罪の意識に苛まれ、美汐に自分の秘密を託す決意したように・・・ 「原爆と原発」の問題にも小説の中で触れられています。
「ずっと運転し続ける発電所に比べたら、出番を待って眠ったままの爆弾の方が作る方が楽さ」
と言っているように比較をしておられ、原発は、良くないということを暗に語られています。
番組の中で・・・
核は人間では扱えないもの
と言っておられました。
- デジタル監視社会への疑問。
- 原発・原爆、核の問題。
- これからの日本社会
という池澤さんの問題提起を頭に置きながら、アトミック・ボックス、読み進めていきたいと思います。またみなさんにもぜひお勧めします。
ビジネスは、どう読者を共感させるか?
池澤さんのお話を聞いていくうちに、小説、コラムなどは、どう読者を共感させるか? このアトミック・ボックスを書き進める中でも、念入りに調べて、事実に近い形で小説を書きあげられた。そこにリアリティが生まれる。また読者は共感して、その作者の小説を読んでいく。
やはりビジネスも、同じで・・・
相手の立場を想定し、考えた仕事の進め方、企画の上げ方、デザインの作成・・・ そこにこだわれば、お客様との間で 共感が生まれ、強い絆の中で仕事が進められると信じて、
この本を読んでいきたいと思います。
本日も私の話に長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。